アラサー女の必死な婚活

運命の出会いなんて信じているわけではなかったのに、気がつけば嫁き遅れていた。
加奈子が結婚活動を決意した動機は、要するにそんなものだった。

33歳・独身・彼氏なし。しかも処女。
どこからどう見ても立派な「嫁けず後家」である。

顔立ちは悪くない、と加奈子は自己評価をしている。親兄弟や同僚からはよく女優のS原涼子に似ていると言われる。最終学歴は旧帝大卒。職業は大阪市内の民間企業の事務職OLで、年収は約300万円程度。この年齢の女性会社員としては可もなく不可もないといったところだろう。
定職についているし貯金もそこそこあり、何よりも2歳年上の姉が独身なので、加奈子自身どこか安心しきっていた部分があった。
しかし「出会い」がない。顔を合わせる男性はいつも同じメンツで、しかも全員が既婚者だ。女友達はいないわけではないが、いつの間にか次々と結婚退職していき、会社に残っているのは美和子だけになってしまった。
そして職場の同僚である40歳の既婚男性から、いわゆるナンパされるにいたって、加奈子はあたらめて危機感を持った。

決して独身主義だったわけではない。いつか誰かと結婚して家庭を持つことは加奈子の人生予定だった。
自然な流れに乗って受験勉強をして、自然な流れに乗って大学に入り、自然な流れに乗って就職活動をして、決して楽ではなかったものの自然な流れに乗って何とか就職して、そして10年以上働いた。
しかし恋愛と結婚というものは、自然な流れでできるものではなかったらしい。